ヒラタクワガタ

Hirata Kuwagata

Hirata Kuwagata

 ヒラタクワガタは気の強い生物だ。筆でくすぐると、大顎を持ち上げて威嚇してくる。
 冬になり、気温が下がって、マットの中にもぐっていることが多くはなったが、まだ息絶える気配はない。カブトムシが一年生の昆虫であるのにくらべ、クワガタ類は越年生の昆虫であるようだ。カブトムシやクワガタ類を、このようなかたちで飼育するのは初めてのことで、いろいろと現実に観て覚えることが多い。
 ウェブや書籍で知識や情報を収集してみても、実際に経験してみることとは感触が違う。どんなに権威ある文献であろうと、実際に昆虫を観察したり、飼育したりして、いま、自分のいる場所での正答が得られなければ、次のステップに進むことはできない。文献の執筆者には首都圏や関西圏の方が多いので、それを遠州に置き換えて読むように心がけている。逆に言えば、昆虫や植物などの観察記を書くのであるなら、その観察地や季節、時間帯などを明らかにした方が良い。
 東海地方としてひとくくりにされることが多いが、名古屋市の気候と遠州の気候とは全く異なる。太平洋沿岸では、夏季に東南から張り出した高気圧の影響が大きく、晴天の日が多い。冬季は北西の風を幾重ものアルプスに遮られて、雪は殆ど降らない。いわゆる海洋性気候なので、年間の気温差も少ない。もちろん、遠州でも北部の山間地は信州南部に似た気候で、内陸性のものであるが、NHK による「全国の天気予報」では遠州の天気の概要すら知ることはできない。東京の後は名古屋に飛んでしまうからである。
 フクシマ以降、「中央」の支配層が「地方」の住民を無意識のうちに差別している様子を、ひりひりと感じている。中部電力の水野明久社長も、JR東海の山田佳臣社長も、東京か名古屋あたりでお暮らしになり、仕事をしていらっしゃることだろう。投資家や金融機関の皆様も、首都圏や中京圏、関西圏の富裕層の方々が多いのではないか。ハマオカが再稼動することによるリスクを、彼らが直接に負うことはない。彼らにとっては、ローリスク・ハイリターンな投資であり、事業であるのだから、彼らがハマオカの再稼動を望むのは至極当然のことであろう。
 私は、いろいろと諦めているものの多い人間ではあるが、遠州の未来のために、ハマオカの問題については意識を集中している。ハマオカから核燃料や放射性廃棄物の一切を除去することが理想ではあるが、現状では廃炉の方針すら示されてはいない。むろん、現実として、できることには限界があるのかも知れないが、私の気分としては、大顎を持ち上げているヒラタクワガタと、そう変わらない。
 ヒラタクワガタの気の強さも、人間の前では無力だ。それでもヒラタクワガタは大顎を持ち上げ、威嚇することを止めない。

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