ラグビー観戦記 2012.05.19 大久保グラウンド

Okubo Ground

 初夏の風が、ここち良い。絶好のラグビー日和である。
 2012 春季オープン戦 第1戦。ヤマハ発動機ジュビロ vs NTT ドコモレッドハリケーンズ。レフリーは真継丈友紀さん。12:00 キックオフ。
 今日のスタンドオフは宮澤正利選手だ。センターでの出場の多い選手だが、池町信哉選手とのハーフ団は新しいものである。
 オープン戦は、日頃ヤマハスタジアムでプレーを観ることのできない、若い、あるいは燻し銀で渋い脇役の、つまりは控えの選手のプレーを多く観ることのできる機会でもある。観客としてグラウンドに入場する際、大判のボードに紹介されている出場メンバーを知り、今日の試合を観戦することの幸運を感じた。サッカーも、ラグビーも、ホームタウンに住む者の楽しみのひとつは、これからトップに上がってゆく若い選手たちの成長を間近に観ることではなかろうか。
 だが、それは楽しい勝ち試合を観客に約束するものではない。むしろ、キックオフがタッチを切って相手のスクラムになるシーンを二度も見せられるような、少し情けない試合でもある。しかし、その情けなさをも応援できるような楽しさが、このグラウンドにはある。まだ、若いのだから、あるいは、慣れない新しいポジションでのプレーなのだから、できなくて「あたりまえ」ではないか、ということだ。キックも、これから上手くなるのである。
 前半は、インゴールの直前まで攻め込みながらトライを決められず、逆に相手のカウンター攻撃を許す、という展開で、ヤマハ発動機ジュビロ 0-19 NTT ドコモレッドハリケーンズというスコアであった。3トライとも左サイドに決められたが、そこへ至るレッドハリケーンズのパスやハンドリングは見事なもので、敵方ながら拍手を送ることに躊躇いを感じさせないものであった。総じて、ブレイクダウンでのボールへの執念も、レッドハリケーンズが優勢であったように思う。ジュビロのフォワードには、もう少し期待したいところだ。バックスが長い距離を走らなければできない仕事を、フォワードは僅かな一挙手一投足でできるのである。
 後半に出場したフッカーの日野剛志選手は、新人にもかかわらず声が良く出ていて感心した。プロップを務めた岸直弥選手のランも良かった。岸直弥選手には、以前から走れる選手という印象がある。走れるフロントローは貴重である。フォワードは前に出ることが仕事である。強いスクラムで押し込むことも勿論であるが、意図しない「こぼれ球」の処理や、敵方のギャップについても、瞬時に的確な判断と動作のできるフォワードであってほしい。フォワードの確実な前進が、バックスのスピードを誘うのである。
 後半に、ジュビロが3トライ3ゴールできたことで会場は盛り上がった。ヤマハ発動機ジュビロでは、五郎丸歩選手の陰に隠れてはいるが、越村一隆選手は、本当に綺麗なプレース・キックを蹴る。私は、彼が入団した年のキックから観ている。今日の試合でも後半に3本を決めたが、特に3本目は、難しい角度からのキックであった。 やはり、練習試合とはいえ、勝利への予感は嬉しいものである。しかし、今日の試合の目的が勝利だけではないことは、ほかでもない観客が承知している。
  NTT ドコモレッドハリケーンズでは、後半に出場したパエア・ミフィポセチ選手が素晴らしかった。ディフェンス・ラインを断ち切るランの鋭さ。ラストの秦一平選手による逆転トライの前段階にも、彼の巧みなステップがあったように思う。
 最終スコアは、ヤマハ発動機ジュビロ 21-26 NTT ドコモレッドハリケーンズ。ホームチームが負けはしたが、その将来が楽しみにもなるオープン戦であった。

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