味噌汁をつくる

Japanese radish


 老父は野菜が嫌いで、刺身のつまの大根や大葉も残すほどである。もったいないので、メバチやビンチョウを柵で買い、拙宅にて柳葉包丁で切るようにしている。

 十月の初旬に老母が右腕を骨折し、朝食をつくることは私の仕事になった。前夜のうちにコメを研いで、炊飯器に炊きあがりの時刻を予約しておく。炊きあがれば重量を計測してご飯をよそう。味噌汁をつくる。食後にはお茶を出す。
 数年前、老母が左腕を骨折したときに朝食をつくることは経験しているが、その骨折が治癒してからは、老母に朝食を任せていた。だが今回は、老母の骨折が治癒しても私が朝食をつくり続けることになる。
 味噌汁をつくることが朝食をつくることの実質であるように思う。具材の準備から、調理して配膳するまで、一連の作業を速やかに行うには修練が欠かせない。
 小松菜、白菜、玉葱、大根、海老芋。味噌汁は基本的に野菜を具材とする。出汁には、あご入りの天然だしパックを使う。小松菜や白菜は、軸と葉を切り分けて、軸を早めに茹でる。大根など堅い食材は、前日のうちに切り分けて下茹でをしておくと、当日の調理時間が短縮できる。豆腐とワカメ、豆腐とナメコ、アサリなどの具材をつかうこともある。昼食であるなら豚汁をつくる。

 家族の健康に責任を持つことが炊事を担う者の職分であると考えている。食料品店に陳列される、メニュー提案型合わせ調味料商品には、塩分が多いように思う。味噌や醤油などは減塩のものを選ぶようにしているが、旨味やテクスチャなども工夫して、健康的で美味しい料理をつくりたい。
 野菜嫌いの老父は認知症で、もう、まともなコミュニケーションは望めない。美味しいものを食べさせるくらいのことしか、もう、私にはできないのである。

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