春愁

Kawazu zakura

Kawazu zakura

 私は UPZ(緊急時防護措置準備区域)に在住する人間であることを、まず告白しておきたい。このエントリがポジション・トークであり、私と私の家族の利益のためにする(というか、私と私の家族の将来の損失になるであろうことのリスクを避けるためにする)ものであることを告白しておかなければフェアではないと考えるからである。勿論、社会全体の利益を考えないわけではないが、その社会のスケールを基準として話を進めたいと思う。

 ツイッターのプロフにあるように、私は遠江國の人間である。明治維新で廃藩置県が行なわれた際、遠江國は浜松県とされた。明治維新では地租改正もあり、それに対して納税者である県民からは県民会開設の要望がなされた。実際に県民会議員を選ぶ選挙も行なわれ、この選挙では夫を亡くして戸主となった女性も参政権を行使している。自由民権運動の成果ではあったが、政府は浜松県を廃県にして静岡県に組み入れた [*01]。
 遠江國は大井川を挟んで駿河國と接しているが、湖西連峰を境に三河國とも接している。現在でも静岡県西部と愛知県との経済的なつながりは強く、遠州地域の製造業の取引先は県中部以東よりも尾張・西三河地区の方が多いという [*02]。
 静岡県は冬季に西風が強い地方なので、もし冬季に浜岡原子力発電所事故が起これば、駿河湾は台無しになる。伊豆半島の西岸も大きな損害を被ることになるであろう。農業又は水産業及びそれらの加工業並びに飲食業や観光業などは、その時点で再起不能となるリスクが否定できない。これらの産業には中小企業や自営業が多く、また、静岡県の温暖な気候や景観の美しさなど、自然環境の恩恵を資源としているからである。
 すでに静岡県内で事業を続けている方々は諦めているのかも知れないが、原発のリスクがある限り、新規参入者を募っても投資や事業を呼び込むことは難しいと私は考えている。地震と津波からの復興には可能性があっても、原発事故からの復興は不可能に近いことが、この五年間で実証されている。既存の浜岡原子力発電所については、廃炉及び核燃料の早期撤廃を目指すよう明確に宣言することが、静岡県の農業に新規参入者を呼び込むために必要ではなかろうか。
 浜岡原子力発電所を再稼動したいのは中部電力である。中部電力に投資や融資をしている首都圏や中京圏の投資機関や投資家は、原発事故前までは象徴的な安定銘柄であった電力株の毀損することなどを懼れて、その動きを応援するだろう。総じて原発推進派は首都圏などの大都市圏に多いように思う。彼らはリスクをとらずにリターンをねらえる、この取引に執着している。静岡県にリスクを負わせ、首都圏などがリターンを得られる好条件の取引である。彼らは豊富な経済力と文化力を動員して、静岡新聞に盛んに広告記事を掲載している [*03]。
 では、社会のスケールを国際社会にまで拡げてみたらどうであろうか。現在の国際秩序は国際連盟によって形成されている。国際連盟は第二次世界大戦に於ける連合国を原加盟国としており、アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国の五ヶ国が安全保障理事会の常任理事国を務めている。彼らは当然のように核兵器を保有するが、核の平和利用を理念とする原子力発電では、チェルノブイリ原発事故でロシアが大きな失態を犯している。欧州諸国に於いては、この事故が強い教訓となっているのではないか。
 科学技術や経済の面ではドイツが有力であるように思う。福島第一原子力発電所事故を受けて、ドイツ連邦政府は脱原発に積極的な姿勢を示している。エネルギー問題は地球規模のスケールで考えるべきものだ。日本以外にも地学的に地震や火山による災害に見舞われる国は多い。科学技術力と経済力を兼ね備えた日本は、それに応じた技術開発をすすめることが、国際社会での役割ではなかろうか。日本の科学技術力と経済力に脱原発という方向性を与えることは、国際社会の利益にもなると私は考えている。

[*01] 北岡和義「時評 初の女性参政権行使」静岡新聞2016年02月25日朝刊。
[*02] 俵山初雄「Interview 県をまたいだ連携強化」静岡新聞2016年02月25日朝刊。なお、この記事は「新東名 浜松いなさJCT – 豊田東JCT 2月13日開通」という静岡新聞営業局で企画・制作されたものの中にある。
[*03] 多すぎて拾いきれない。

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